泣き虫王子と哀願少女



「マ、マジで~っ!?」



あの事件から3日程たった日の昼休み。


青空が気持ちいい屋上で、これまでの出来事のあらましを明里に説明しているところである。



「それにしても、あの須藤先生とリカちゃんがねぇ……」



複雑そうな顔をしながら、明里が手すりに頬杖をついた。



結局あの騒ぎのあと、英語の西野先生に呼ばれた数名の先生が次々とやってきて、その場にいた4人全員別室へと連れて行かれた。


ひとりひとり、まるで事情聴取のように細かく話を聞かれたのだが……。


リカちゃんだけが、頑として自分は無関係だと言い張って認めなかったらしい。


そんな中、数学準備室の後片付けをしていた先生が偶然教室に仕掛けられていた隠しカメラを発見。


そのカメラの中には今回の事件のみならず、それまでの須藤先生とリカちゃんの情事の様子までもが録画されていたらしいのだ。


実は須藤先生が、何かあった時に後々私やリカちゃんへの切り札にするため仕掛けていたらしいのだが。


結果として、皮肉なことにこのカメラがこの事件の解決の決め手となったのだった。

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