13年目のやさしい願い
できるだけ学校に行けなんて言う人は、家には誰もいない。
ぜんぶ、わたしのワガママだって、分かってる。
だから、みんなを悪く言わないでって思うのに、カナの気持ちも痛いくらいに分かるから、そんなことは言えるはずもなかった。
過ぎたムリは止められるけど、境界線にあるのなら、家族はみんな、わたしの好きにさせてくれる。
でも、カナはそれより、もっと手前でわたしを止めようとする。
「ハル。今日は帰った方がいい。しんどいだろ?」
カナが心配そうに、わたしの顔をのぞき込み、頬に触れる。
「大丈夫」
「大丈夫じゃないって。オレの前ではムリするなよ……ってか、誰の前でもムリは禁止」