13年目のやさしい願い


「……カナ」

「車、呼び戻してやるから」

「せっかく来たのに」

「せっかくも何も、こんな疲れた顔して、何言ってんだよ」

「出席日数も……」

「まだ4月だろ?」



知ってるくせに。

わたしは暑さにも寒さにも弱いから、春・秋以外はまともに登校できる日が激減するって。

今なら、まだムリもできる。

けど夏の暑さが始まったら、ムリしようにも身体はまったく動かなくなる。



「ハル、考査の成績は良いし、レポート書けば間に合うよ」

「それでも。……授業受けたいよ、ちゃんと」



カナは、ふうっと息を吐くと、仕方ないなと、わたしの頭をなでた。



「取りあえず、保健室に行こう? そこで何時間か寝て、元気が出たら教室に行こう。な?」



金曜日だし、ムリを押し通したい気持ちもあったけど、本気でわたしを案じるカナにそれ以上は言えず、わたしは諦めて頷いた。

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