13年目のやさしい願い


……なんでか、最近、よく夢を見る。



16歳の自分として、夢の中にいることをどこかで自覚しながらも、

子どもの頃の自分のままに、裕也くんと瑞希ちゃんの姿を見ていた。



「裕也くんと、瑞希ちゃんは、恋人同士になったの?」



知り合ってから、一年くらい経った頃。



この前、瑞希ちゃんがくれた本が、恋に関するものだったから、

この前までは、隣にいるだけだったのに、2人が今日は手をつないでいたから、

なんとなく聞いてみた。



「えっ!?」



瑞希ちゃんの頬がポッと赤くなった。

つないだ手を、瑞希ちゃんが離そうとして、裕也くんが追っかけてつかんだ。



「よく分かったね」

「やだ、裕也くんてば」

「隠すようなことじゃ、ないだろ?」

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