13年目のやさしい願い
仲のいい2人を見るのが大好きだった。
年が3つも違うからか、リードするのは、いつも裕也くん。
「瑞希ちゃんと裕也くんは、結婚するの?」
まだ7歳の子どもの無邪気な質問。
結婚ってことの本当の意味も、よく分かっていなかった。
瑞希ちゃんは、困った顔をしたけど、裕也くんは笑顔で答えてくれた。
「ボクが一人前の医者になったらね」
「え!? ……ウソ」
眼を丸くして、瑞希ちゃんは驚いたように裕也くんを見て、片手で口を押さえた。
「なにがウソなの? 本気だよ」
裕也くんは涼しい笑顔を浮かべて、瑞希ちゃんの顔をのぞき込んだ。
仲の良い2人を見るのが好きだった。
幸せそうで、心がほっこりした。
まだ、恋なんて知らなかった。
その頃は、まだ、「好き」って感情の意味も分かっていなかった。