13年目のやさしい願い
次に目が覚めると、10時過ぎだった。
2時間目の真っ最中。
当然のようにカナはいない。
いないのだけど、ついさっきまで側にいてくれていたような気がして、
きっと握っていてくれただろう左手を思わず、じーっと見つめてしまった。
保健室の、やけに鼻につく消毒薬の匂いに、何となく、裕也くんの顔を思い出した。
ママでもなく、おじいちゃんでもなく、なんで裕也くんだったのかな?
……わたしの中では、まだまだ、白衣の裕也くんが見慣れぬ異質な存在だからかも知れない。
もしかしたら、ただ単に、久しぶりに会って、印象が深かっただけかも知れないけど……。