13年目のやさしい願い


その時のわたしは、検査入院。

少しくらい出歩いても怒られないからって、よく瑞希ちゃんの病室に遊びに行った。



「苦しい?」

「大丈夫よ。ほら、酸素してないでしょう?」

「……うん」



本当に心臓の動きが悪くなったら、全身に酸素が回らなくなってしまう。

そうなると、必ず酸素吸入をさせられる。

病院にいてしていないのなら、瑞希ちゃんが言う通り、大丈夫だからに違いない。

だから、瑞希ちゃんに勧められるまま、パイプイスに座っておしゃべりをした。



病室に限らずプレイルームや大部屋で、瑞希ちゃんは、いつも優しいキレイな声で、たくさんの絵本を読んでくれた。

わたしだけじゃない。

瑞希ちゃんの周りには、いつも、たくさんの子どもたちがいた。



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