13年目のやさしい願い


思わずポンと手を打つと、兄貴は呆れたように笑った。



「おまえ、ホント、自分では頭働かせないな」

「……ひでー、兄貴。オレのことバカにしてる?」



と抗議はしてみたものの、自分でろくに考えていないのは確かで、兄貴の言った案なんて、思いつきもしなかった。



「いや、バカにしてるって言うか、……おまえ、本当に上手く人を使うよなと思って」



兄貴はなぜか感心したようにオレを見た。



「オレには真似できないよ」

「え? 何が?」

「おまえのそういうとこ」

「だから、そういうとこって、どんなとこ?」

「自分にはできないと思ったら、無駄な努力に時間をかけたりなんかしてないで、さっさと誰かしらに頼むとこ」

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