13年目のやさしい願い


よく分からないけど、責められてる訳じゃなさそうだし、まあいっか……と思っていると、兄貴は小さくため息を吐いてオレを見た。



「その、できないことはサッサと諦めて、できる人に頼むところとか、まずは外堀を埋めていくところとか、……親父は気に入ってるんだろうな」

「…………は?」



話の流れがまるで読めない。

オレよりずっと頭が良くて、思慮深く、いつも色々考えている兄貴。

いつもはもっと分かりやすく話をしてくれる。

今日は何かにつけて抽象的だ。



親父がオレを気に入ってる?

……まあ、親子仲は悪くないよな?

しょっちゅう、からかわれるのは勘弁してって思うけど。



「おまえ、経営者向きだよ」

「…………何のこと?」

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