13年目のやさしい願い
既に会話になっていないんじゃないだろうか、とオレが怪訝な顔をしていると、兄貴はふうとため息を吐いた。
「オレには真似できない」
「……や、だから、何の話?」
「おまえ、大学はどこ受けるの?」
「どこって、杜蔵にそのまま上がるけど」
「だから学部」
「まだ決めてないよ」
オレはそう即答したのに、兄貴は聞いてないかのように更に突っ込んできた。
「経営学?」
「……知らないって」
「考えもしないの?」
……ってか、兄貴、どうしたの?
「オレ、ハルが行くところに行くから」
仕方なくそう言うと、オレの答えを聞いた兄貴はぷっと吹き出した。