13年目のやさしい願い


「やっぱ、それか!」

「……それしかないでしょ」



笑われたって、呆れられたって、オレにはそれしかないから。

正直、ハルに言ったらイヤがられるんじゃないかって気がして、未だに言えてないんだけど……。

イヤがられるって言うか、「そんなことで進路を決めちゃダメでしょう」って叱られる気がする。

オレにとっては、「そんなこと」じゃなくて、「それこそが一番」なんだけど。



誰が何と言おうと、オレはハルの側にいる。

例え、言うのがハルだとしても、ゆずる気はない。

それだけは、決めているんだ。



「高2だろ? そろそろ進路も考えろ」

「……じゃあ、ハルに聞いてみる」



そう言うと、兄貴は今度は腹を抱えて笑い出した。

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