13年目のやさしい願い
それから、自分の存在が家族水入らずの邪魔をしているようで、なんだか申し訳ない気がしてならなかった。
普段、ハルの家族はみんな多忙で、土日だとしても、こんな風に集まってるようなことは、ほとんどない。
おばさんがここにいるのも仕事の合間の数分程度で、私服で病室にいることなんて滅多にない。
通常、見舞い客の9割以上はオレな訳で、わざわざ、新幹線に乗って明兄まで来るとなると、別の意味で心配になるくらいだ。
ハルの具合、そんなに悪かったのかって。
「ハル、オレ、またにしようか?」
「え? なんで?」
「や、だって、明兄まで来てて家族揃うなんて珍しいじゃん?」
ハルが不安そうにオレの目をじっと見つめた。
そして、オレの手をキュッと握る。
「……オレ、いてもいいの?」
ハルがこくりと頷いた。