13年目のやさしい願い


「ん。そうだな、忙しいよ」



オレに話す時とはまったく違う、優しい穏やかな声。



「ありがとう」

「ん?」

「心配して、わざわざ、来てくれたんでしょう?」

「ああ。晃太から、学校にとんでもないヤツが乗り込んできたって聞いて、驚いたし」



……兄貴、誰に報告してんだよ。



そして、ハルも「なんでお兄ちゃんが知ってるの?」っていう顔をしていた。

ハルはきっと「わたしの身体のことを心配して」と言いたかったんだと思う。



「大変だったな」

「ううん」

「もう、こんなことがないように、手を打っておくから、陽菜も安心していいぞ」

「え?」

「明兄?」



思わず口を挟むと、明兄が不敵な笑み浮かべた。

< 312 / 423 >

この作品をシェア

pagetop