13年目のやさしい願い
「おまえも、陽菜を守るって言うなら、それくらい手を回せ」
「……あ、えっと、親父には頼んだ」
明兄はふっと笑みを浮かべた。
「そりゃいい。広瀬のおじさんが動いてくれるなら、オレが出るまでもないかな?」
「あの……お兄ちゃん?」
「ん?」
またしても、明兄の表情は一気に柔和にゆるむ。
「あの女の子に、……何か、するの?」
「ああ、二度と陽菜や叶太に近寄らないようにしとかなきゃな?」
ハルが困ったような顔をする。
ハルのことだ、きっと今回のことは、おじさんにも話していない。ハルは告げ口のようなことは好きじゃないから。
オレとしては、十分、正当防衛だと思うんだけど。
そして今、ハルは明兄が自分のために動いてくれているのに、否定するようなことを言っていいのか迷っているのだろう。