13年目のやさしい願い
だから、心配しなくても大丈夫だよという思いを込めて、つないだ手に少し力を入れた。
「ハルが悲しむようなこと、明兄はしないって。……ね?」
半分、釘刺し。
親父以上に、手荒な真似をしそうな明兄。
兄貴は、オレが人を使うのが上手いってようなことを言ったけど、それはオレじゃなくて明兄だと思う。
「そうだな。陽菜が無事、元気になったら、軽く念を押すくらいにとどめようかな」
そう言うと、明兄はハルの頭にポンと手を置いた。
「それじゃあ、今日は帰るよ。熱が下がって元気になったら、電話しろよ?」
「うん」
ハルが、オレの手を放して明兄に手を伸ばし、明兄は迷わず、その手を取った。