13年目のやさしい願い
「来てくれてありがとう」
「ああ。また来るよ。少し遠いけど、日帰りだってできなくはない距離だよな?」
明兄の手を取るために、スッと離れていったハルの手。
消えたハルのぬくもり。
ハルの心からの笑顔、嬉しそうな顔を見ていると、心の奥底から、もやもやした気持ちがわき上がってきた。
もしかして、いや、もしかしなくても、たぶん、ハルはおじさんやおばさんよりも、明兄のことを頼りにしている。
正直、今は、オレが一番だと思う。
ハルはオレを求めてくれていると思う。
だけど、明兄が家を出たから、今はオレが一番なだけで、
もし明兄がうちの兄貴みたいに杜蔵大学に通っていたら、オレが二番だった!?