13年目のやさしい願い
月曜日。
いつも通りに目は覚めたのに、激しい運動はしばらく禁止と言われたオレは、時間をもてあまし、
「あーあ。ハルに会えるの、夕方か~」
とぼやいたところで、思いついてしまった。
病院、近所なんだから、今から会いに行けば良くない!?
と言うわけで、住宅街を通り抜ける朝の冷たい風に短い髪を乱されながら、オレはハルの元に行くため自転車をこいでいた。
事故後、退院翌日の登校時、お袋はほんの少し、オレが自転車に乗るのを止めたそうなそぶりをした。
そんなことが脳裏に浮かぶ。
……ハル以外の人も、やっぱり心配させたよな。
ごめんね、と心の中で小さくつぶやいた。
「まず、おまえが、ぜったいに元気でいろよ?」
裕也さんの言葉が頭に浮かぶ。
あの事故以来、オレは、以前よりずっと周りに気をつけるようになった。