13年目のやさしい願い
トントン。
小さくノックをしたけど、返事はない。
まだ早い。ハルが寝ていてもおかしくはない。
気にせず、静かにドアを引いた。
「ハル。おはよう」
ハルは寝ているけど、部屋はもう明るい。
眠るハルに一声かけてから、音を立てないように気をつけて、枕元にイスを移して座る。
おでこに手を当てると、熱が引いていた。
呼吸がずいぶんと楽そうになっていて、ホッとした。
思えば、まだ4月。
たった1ヶ月で、どんだけ事件が起こってんの?
オレは小さくため息を吐き、そっとハルの手を握った。
ごめん、ハル。
あれとか、これとか……オレのせいだよな。
ホント、災難ってのは、思いもかけないところから降ってくる。