13年目のやさしい願い


入学式の日、一ヶ谷くんに手を引かれて、校舎裏を歩いた。

まだ一ヶ月も経たないのに、もう遠い昔のような気がしてならない。



「金曜日だって、陽菜ちゃん、あんなに調子悪そうで顔色悪かったのに。

保健室で寝ていたのに寝込みを襲うようなことして、なのにオレ、陽菜ちゃんの顔すら、しっかり見てなくて……」



堅く握りしめられた拳に血管が浮いているのが見えた。



「話の途中で陽菜ちゃん、苦しそうな顔して真っ青になって、広瀬先輩に支えられて陽菜ちゃん、ひどく戻して…………それから、意識をなくして、救急車来て……」



一ヶ谷くんの声が震えた。



「オレ、……………死ぬほど後悔した」

「ご、ごめんね」



未だに頭を下げたままの一ヶ谷くんの肩が震えているのを見て、気がつくと、そう言っていた。

その言葉に、一ヶ谷くんは驚いたように顔を上げた。

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