13年目のやさしい願い


「なんで陽菜ちゃんがあやまるの!?」

「え? 驚かせちゃったし」



正直、何の知識もない人が、わたしが倒れるところに行き会ったら、トラウマになるんじゃないかとすら思う。

顔色は極限まで悪くなり、息一つまともにできていない。

さっきまで隣で普通に話していた知人が、突然、苦しみはじめて死にそうな状態になったら、そりゃ驚くと思う。



「違うでしょ!? あやまってるの、オレだから!」

「……あ、うん。でも、わたしも申し訳なかったし」

「陽菜ちゃんは何も悪くないって!」

「でも、」

「でも、じゃなくって!!」



あんまり大きな声で言われて、思わず、身を縮めると、一ヶ谷くんはまた「ごめん」とあやまった。

それから、少し怖い声で続けた。



「陽菜ちゃん、優しいのも大概にしなきゃ」

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