13年目のやさしい願い


隣の家に住むおばあちゃんは、凜とした空気をまとった、いかにも貴婦人という感じの人。

おじいちゃんとおばあちゃんの家にもお手伝いさんはいるけど、おばあちゃんはお料理もお掃除もするし、おじいちゃんの身の回りのお世話ももちろんしている。

お仕事はしていない。



だから、小さな頃、体調を崩すと、よくわたしはおばあちゃんに預けられた。

おばあちゃんは、いつだって優しかったけど、ダメなものはダメだと、人としてこうあるべきだと、丁寧にくり返し教えてくれた。



「なるほど。……お義母さんかぁ」



ママは顔をしかめる。

どうにも、おばあちゃんに苦手意識があるらしい。



仲は良い。

でも、あまりに違い過ぎる2人。

お互いがお互いを認めていながらも、密かにお互いを敬遠している。

そんな空気が感じられる。

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