13年目のやさしい願い
「ただ、意識がなかなか戻らないから、」
ママはわたしの手をそっと握った。
そのまま顔をしかめて、両手で包み込む。
わたしの手は、たぶん今、驚くほど冷たい。
「陽菜についていてもらおうと思って、呼びに来たの。
陽菜、ちょうど院内にいたし。
叶太くんの家族、みんな出かけていて到着まで時間がかかりそうで」
そこまで言って、ママはわたしの頬にそっと手を移した。
「それに、病室で一人寝かしておくより、陽菜が声をかけてくれた方が意識の戻りがいいかなと思って。
一緒に来てくれる?」
こくりと頷くと、ママはスッと立ち上がって手を差し出してくれた。