On Your Marks…~君と共に~
「俺さ、県一番のスプリンターだった。」
いきなり、勝木が自ら過去のことを語り出す。
「知ってるよ。あたしあんたの走り見たことあるもん」
あたしがそういうと、勝木は驚いたのか起き上がってあたしを見てくる。
あたしは起き上がらすその体制のまま、勝木の様子をうかがう。
「なんで?」
「なんでって……。
たまたま遠征先で立ち寄った大会であんたが走ってたの」
「……だからあんなにしつこかったのか?」
「そういうこと」
勝木は納得したのか、深く息を吐いた。
「俺さ、中学でかなり有望視されてて、追川からも推薦は1年の時からもうすでに来てた。
俺以外にも、ロング・スプリンターの福田啓太(フクダ ケイタ)とお前と同じ長距離ランナーの浜崎拓夢(ハマサキ タクム)にも声がかかっていた。
俺ら3人で追川にいこうってそう約束していた。
だけど、夏休みのある日。俺ら3人川で遊んでたんだよ。部活帰りに。そしたら、啓太が結構深い所で足つって、溺れかけてたんだ。
そこで、拓夢が一番に気づいて啓太を助けに行った。俺は大人に助けを呼びに行った。
だけど、俺が助けを呼んで戻ってきたっころには、2人の姿はなかった。
俺も川に飛び込んで探そうとしたけど、ちょうど雨が降ってきて救助の人に止められた。
その翌日2人とも見つかったよ。変わり果てた姿でな……。
俺ら3人でオリンピック行こう。あそこで3人で走ろうぜって。俺らで、金を独占するんだって。そんな、バカみたいな夢を毎日3人でバカみたいに笑いながら語り合ってたんだ。
なのに……。俺だけが助かった」
気付はあたしの目からは涙が零れ落ちてきていた。