On Your Marks…~君と共に~
「あたしがあんたの、勝木の追い風になる。向かい風に負けない、追い風になる。あたしがあんたをゴールまで連れて行く。
だからさ、あたしにもう一度あの風を感じさせてよ」
「俺の……風?」
勝木の顔が少しだけ上がった。
そうだよ。
あたしがあんたの背中を押すよ。
何度でも、何度でも。
勝木が風になれるように、あたしは何度でもあんたの後ろからエールを送り続けるから。
だから
「この足で、勝木が風になるの。風にならないといけない」
「なれると思うか?」
「なれると思うかじゃなくて、なるの!」
あたしは勝木を見て強くいう。
__やれるか、じゃなくてやってみる。
それは、あたしの第2の家族であるさやか先輩がいつもあたし達にいっている言葉。
やってみないと、なにも始まらない。
諦めないで、一歩苦しくてもあたし達は前に進まないといけない。
さやか先輩の言葉があたしの背中を押すように、あたしは勝木の背中を押すから…
「On Your Marks…ってスタートするときに声が聞こえるでしょ?あの時、自分の隣に立っている人たちがすべてライバルであって、敵な訳。
だけど、彼らにとって、そのスタートラインは、目の前の一本の線じゃなくて、もうずいぶん前からスタートしてるんだってあたしは思う。誰もがみんな人生っていう長距離を走ってるんだってあたし思ってる。
1人だったら、そんな長い距離走りきることは出来やしない。仲間と手を取り合って、励ましあいながら助け合いながら、今もあたしたちは前を向いて走っている。
だけど、勝木。あんたは今立ち止まってる。前に進みたいって思わないの?勝木はさ、もういちど、スタートラインに立てばいいんだよ。人生のスタートってさ、やり直しきくんだから」
「……じゃあ、お前はさ、なんで長距離走ってんだよ」
「あたしはね…駅伝に憧れたの。長い距離を仲間が襷(タスキ)をつないで走る。
苦しくても、足を止めたくなっても、仲間の想いが詰まってる襷があるから前へ進める。
カッコいいと思わない?……駅伝」
そういって、あたしは無理やりにでも笑顔を作った。