On Your Marks…~君と共に~
















「あのさ、昔の瞬の走りはシュシュッって感じだったの。だけど、今の瞬はシュンシュンみたいな感じになってるの。わかる?」



「あのな……お前さっきから擬音語の使い過ぎで何言ってるかさっぱりわかんねえから。ちゃんと喋れよ」



朝練終わりに自分の席について言い合いをするあたしたち。


あれから瞬は正式に我が鷲松学園の陸上部となった。


陸上部である以上、練習や、部室は違うけれど、週に一度行われる合同練習で嫌でもあたしたち2人は顔を合わせる。


我が陸上部はなぜかわかんないけれど、男女関係なくお互いを下の名前で呼び合う。


またはあだ名。


そんなあたしたちの間には、瞬ファンであろう人たちも遠くから眺めているだけで、あたしたちの間には入ってこようとはしない。


いや、入ってこれないというほうが正しいのかもしれない。



「はぁ……要はね。あたしが見たあのころの瞬は、なんていうんだろう…。輝いてた…。


輝る…風だった。キラキラしてたんだよ。だけど今の瞬は、キラキラしていない。

確かに、フォームは完璧で、生きるお手本だと思う。だけどね、ただ正しい形で走ることが、イコール風になることとは違うと思う。

きっと、瞬は、まだ何かが足りてない気がするんだよ……決定的な何かが……」



そう…。


決定的な何か……


それはあたしにもよくわからない。


だけど、確かに今の瞬には何かが足りていない。


それだけはわかった。


スプリンターのことはよくわからないけれど、昔の瞬の走りをみたあたしなら、今の瞬と昔の瞬との違いが分かる。



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