On Your Marks…~君と共に~
「…ここは…?」
あたしは、瞬を見上げて問う。
瞬はただ前を見て小さく、俺の生まれたとこ…とそう言った。
そして、ちょうどそこへ、電車が来て、あたしたちは乗り込んだ。
電車はとてもすいていて、あたしたちは並んで席に着いた。
電車はゆっくりと動き出す。
景色が動き出す…
瞬のかすかに見えた横顔はどこか悲しそうだった。
海瀬。
あたしは確かにその地に足を踏み入れたことがあった。
あの、中学の遠征のとき。
そう…瞬の走りを初めてみたとき…
あたしにとっては、思い出の地でもある。
だけど瞬にとっては、忘れたい地なのかもしれない。
かけがえのない親友を失った地でもある。
周囲の人から冷たい目で見られた地である。
そんな地に、今自ら向かおうとしている。
他県とはいっても、結構近場にある海瀬。
各駅停車でも30分くらいであっという間についてしまう。