On Your Marks…~君と共に~



「ねぇ…」



あたしはこの無言状態に耐えられなくてつい口を開いてしまう。



「…」



「ねぇ、聞いてる?」



「…」



瞬は相変わらず、外に景色に目を向けたままで、あたしの話を聞こうとはしてくれない。



「…何しに行くの?海瀬に。」



それでもめげずに。あたしは話を続ける。



「…風を取り戻しに行くんだよ。」



そういって、やっと瞬はあたしと目を合わせてきた。



あまりにも急に目を見てくれもんだから、一瞬ドキッとなってしまう。


あたしと瞬の座席は隣。


そんなくっついたところで、お互い顔を見合わせたら、恥ずかしくてたまらない。


今、あたしの顔の前に完璧に整った瞬の顔がある。


あたしは、その状態が耐えられなくって、思わず下を向いてしまう。



< 84 / 362 >

この作品をシェア

pagetop