On Your Marks…~君と共に~
「更衣室はわかるな。じゃ、ストレッチして20分後にあのスタートラインに来いよ。」
コーチはそういって、部員たちの元へと戻っていった。
瞬はくるっとUターンしてスタンドの下にある”男子更衣室”と書かれたドアの方へと向かう。
あたしはというと、一緒に更衣室に入る訳にもいかないので、スタンドの方に上がることにした。
「瞬っ!」
あたしは後ろを振り返って、ちょうど更衣室に入ろうとしていた瞬を呼び止めた。
「何?」
瞬はあたしの方をふり向いて、少し無愛想にそう言う。
「…頑張れっ!」
たった4文字のその言葉。
どうしても伝えたかった。
どうしても走り出す前に伝えたかった。
瞬はあたしに背を向けて、右手を挙げてVサインをあたしに掲げた。
そして何も言わずにそのまま更衣室に入って行ってしまう。