聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~奇跡の詩~
ライトのその予想は、間違っていた。

剣を交えることで、ライトの想いは余すところなく伝わっていたのだ。

リュティアは、ライトがずっと、愛してくれていたことを知った。今も愛してくれていることを知った。あの日の告白は真実だったのだと知った。

だからリュティアは切なかった。二人のすれちがいが切なかった。確かに愛し合っていた季節があったのに、運命に引き裂かれたことが切なかった。

ライトと出会ってからの日々が思い起こされた。

『…けがは?』

出会いという答えを知った。

『星麗の騎士ではない。ライトファルス―ライトだ』

恋という甘い感情を知った。

『ふざけるな! そんなこと、あるはずがない!』

恋を失う痛みも知った。

すべて、彼に出会ったから、知ることができた感情。今のリュティアを形作る、かけがえのない感情。

だから今、リュティアはライトのためだけに戦っている。

世界のためではない。ライトのために。ライトを救うためだけに。

確かに心の奥底から湧き上がってくるものがある。これは、…恋なのだろうか?

ふと、なぜ3000年前光神が闇神を攻撃したのか、その理由がわかったような気がした。

光神はきっと、心の奥底から湧き上がってくるものに突き動かされたのだ。リュリエルとヴィルトゥスの何かを強く愛するゆえに、ヴィルトゥスを殺されて、怒りを感じたのだろう。
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