聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~奇跡の詩~

ラミアードはにやにや笑いながら、そっと桜の木から離れた。

カイに、とても大切なことを伝えるためにやってきていたのだが、どうやらその必要はなさそうだったからだ。

とても大切なこと―それは、カイとリュティアの二人が兄妹ではないということ。

最近になって宝剣アヌスそっくりの剣がもう一本ひょっこりとみつかった。

大巫女ラタユに問えば、それは友情の剣ヴィタスだという。

未来の真実の王の真実の友となりうる資質を備えたものだけに触れることのできる特殊な剣だというのだ。

実はカイが陥落の日持ち出した剣、ずっとその身に帯びてきた剣はこのヴィタスで、王族の剣宝剣アヌスではなかったのだ。

正真正銘、ラミアードは王家の王子だった。カイとリュティアは、兄妹ではなかった。

ラミアードはうきうきと心を弾ませて歩いた。

これがうきうきせずにいられるだろうか。

これからいかにしてリュティアを世界一美しい花嫁にするか、その楽しすぎる計画が待っているのだから。
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