恋ごころトルク
「兄貴、俺はもう、大丈夫なんだからな。何回も言ってるけど」
「……誠太郎」
光太郎さんも誠太郎さんも、静かな声で話している。
「なんとも思ってないよ。みんな、同じだよ」
「……」
「カズトが会いたがってるよ」
カズト……?
ああもう、この兄弟にあたしは見えてないんだ。真面目な話を、あたしは上半身を光太郎さんに被せたままで聞かなければいけない屈辱。
「甥っ子だ」
耳元で、光太郎さんが囁いた。
そうだ、誠太郎さん、結婚してお子さんもいらっしゃるって言ってた。カズトくんて言うんだ。会ってみたいな、会えるかな。いつか。
「真白ちゃんも居るし、大丈夫そうだな」
「……ああ」
「じゃ、俺は帰るから。仕事抜けて来たんだ」
「そうか、悪いな」
お帰りですか誠太郎さん! すみませんこんな格好で!
「じゃ、真白さん。兄貴をよろしく」
「は、はい。こんな格好ですみません!」
せめて声だけでもと、低調に謝った。アハハハと笑いながら、誠太郎さんは病室を出て行ったようだ。音声のみで判断しています。