恋ごころトルク
自動車学校と同じように、真っ直ぐ行って左折合図を出す。左折から進入、そして右折……。右にバランスを傾け過ぎたのか、カーブに見立てたパイロンを倒してしまう。自動車学校のクランクも、薄汚れた小さいパイロンがクランクに細かく並べてあるんだ。
「ああ……」
「下を見過ぎなのと、ニーグリップ。上半身ぐらぐらしてる」
先生と同じ事を言われてるなぁ……。
「パイロン倒したのは、縁石に当たってるってことだと思ってね。あと、白線も踏まないように」
結構厳しい。でもここで小さいこのエイプで出来ないものはCB400でもできないってことだ。
「がんばろ。操作は問題無いと思うから」
「はい……」
パイロンの間を通り、出発地点に戻る。停止して、またさっきと同じようにゆっくりと発進して左折からクランク進入。
「前見て。出口のあたり。曲がる方に体傾けて、目線は前。ニーグリップ」
一気に色々言われてアワアワするけど、ちょっと大回りになりながら右折左折とパイロンのクランクをグラグラと通った。
「さっきより良くなったよ。ちょっと大回りしてて本物のコースなら縁石に当たってる」
「……なんか、分かってるのに出来ないんですよね……」
弱音吐いてる場合じゃないけど。
「ちょっとさ、貸して」
光太郎さんがハンドルを取った。あたしはエイプから降りて、そして入れ替わりに彼が跨がる。背が高いし足が長いから、エイプが小さく見えるなぁ。
「見てて」
ブンブンとちょっとアクセルをふかして、光太郎さんは走り出した。当たり前だけど、慣れてる……。ゆっくりクランクに進入して、右に曲がり、そして左折、クランクを出る。ひゅん、ひゅんて音が鳴ってそう。自動車学校の先生も、こんな感じで走ってた。
戻ってきた光太郎さんは、ひらりとエイプから降りた。
「ちょっとこいつは小さいから感じは違うけど、大体の感覚はね、練習になると思うから」
「転んじゃいそうで怖くて……今日も倒れて起こせなかったし」
「目線とニーグリップ。あと倒れそうになったら加速。下見ないで。やってごらん」
はい、とハンドルを掴むよう促される。