恋ごころトルク
光太郎さんが笑ってる。お弁当を買いに来るのを見てるだけだったのに、いまこんなに近いなんて。光太郎さんの気を引きたいから二輪免許を取りに行ってるわけじゃないけど……。
「あたし、お弁当届けに来た時に、バイク格好良いな、良いな乗りたいなって思ったんです。光太郎さんが乗ってるのを見て、格好良くて」
「そっか」
「バイクも格好良かったし、あたしああいうの乗りたいって。帰ってからあのバイクのこと調べたりして」
そう、とっても格好良かったんだ。あたしも乗りたいなって思ったんだ。
「乗ってるのが光太郎さんだったからかもしれません」
どさくさに紛れて言わなくても良いようなことも言ってる気がする。でも、なんていうか、伝えたくて。
ちょっと考えるような顔を表情をして、そして、笑ってる。あたしに笑いかけている。
「あの」
エンジン音は自動車学校のCB400より小さいし、車体だって小さい。まるであたしを光太郎さんみたい。
「二輪免許取れたら、光太郎さんのバイクの後ろに乗せてください」
「……後ろ?」
笑ってた顔がきゅっと変わる。変なこと言ったかな……。気持ち悪いお願いかな……。
「タンデムをご所望?」
「……はい。だめですか?」
「変なこと言うね……」
へ、変かしら……変なのかな、やばい、変なのかな。別にいやらしい意味じゃないんだけど。
困ったような顔をして、またあたしをみて笑う。その笑顔が眩しくて胸キュンを通り越して胸がミシミシ言う。胸ミシ。
「がんばって取ってね。応援するから」
光太郎さんの手が伸びて、ヘルメットをコツン。
「は……はい」
ああ……がんばろう。がんばって免許取ろう。絶対に、夏までには取るよ。