恋ごころトルク

「ドラッグスター、今度見て行きなよ。ショップにあるし」

 光太郎さんがそう言った。

「あ……はい。でも、あんなに大きいの、あたし乗れるか心配で……」

「大丈夫だよ。あの時、俺が乗ってたのは400ccだけど、250っていうのもあるから」

「そっか……まだ全然バイク分からないから」

「それでも良いじゃない。好きこそものの上手なれ、だよ」

「はい」

 今度、練習じゃなくてバイク見に来よう。乗るバイク決まったら、励みになるってもんだよね。

 ペットボトルのお茶は全部はちょっと多い。あとは持って帰ろう。

「すみません。そろそろ帰ります」

「おう、また練習しよ」

 練習……したいのは山々なんだけど、なんか、やっぱり迷惑かかってると思う。

「なんか、すみません。ご迷惑を……下手だし」

 グチグチしたことを言ってしまってから、なんだか自己嫌悪。ああもうなんだよ違うんだよこういうことを言いたいんじゃないのに。面倒臭いなぁあたし。

 光太郎さんは立ち上がって、お尻を払う。あたしは帰らないといけないし、光太郎さんは仕事がある。

「忙しい時はちゃんと言うから、そう気にしなくて良いよ。俺が好きでやってることだし。バイク好きが増えて嬉しいし」

「はい。ありがとうございます」


 ショップの前に止めてる自転車のところまでふたりで歩いて行く。空は相変わらず曇っている。
 ヘルメットとグローブをリュックに入れる。

「気をつけて帰ってねー」

「はい」

「光太郎~!」

 自転車に鍵を差し込んだ時に、後ろから男の人の声が聞こえた。呼ばれた光太郎さんが後ろを振り向いた。つられてあたしも振り向く。

「あ、タケさん」

「なになにナンパ? なにこれどこで引っかけて来たわけ?」

「ちょっと……なに言ってるんすか。違いますよ」

 駆け寄ってくる男の人。これまた背の高い……なんだ、光太郎さんよりちょっと大きいし、髪が肩まで長くて、あの、すっごい美形だし、ピアスの数……指輪ゴツ……半袖着てるけど……なにその腕の模様……!! 怖いよおお!!

「お客さん?」

 その「タケさん」と呼ばれた人は、高い位置の頭をあたしの目の前まで持ってきて、そう聞いた。近いよ、目が悪いの? 見過ぎだよ顔……。美形だけども!


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