恋ごころトルク
「まぁ……いま、二輪免許取りに行ってる子で、知り合いっていうか」
「き、木下と言います」
光太郎さんのお友達だろうか。きちんと挨拶をせねば。会釈も付け加えた。
「こんちわ。タケさんでーす」
なんだか……チャラ……。いやいや、光太郎さんのお友達というかお客様だろうからそんなことを思ってはいけないわ。
「木下ナニちゃん?」
「ま、真白、です」
「マシロちゃん。よろしくねー」
「うちのお客さんでタケさん。常連さんだよ」
「よ、よろしく……おね……」
なんだろうこの人。動くたびにジャラジャラ音がする。色々装着しすぎなのでは……。なんの武器? なに対して戦いを挑もうとしてるの? 世間? 自分? 音の出所は、ウォレットチェーンや鍵らしい。
「客だけど付き合いも長いよなー遊ぶもんなー」
「そうっすねー」
光太郎さんとタケさんは、あたしを横に置いたままその場で立ち話を初めてしまった。ええと、どうしよう。聞いてれば良いのかしら……帰ろうかな……。
「この間、店に誠太郎が来たよ」
「そうですか、元気でしたか」
「会ってないの?」
「電話したりしてるけど、予定合わなくてなかなか」
「元気だったよ。季節の変わり目だから傷が痛むとは言ってたけど」
「そうですか」
セイタロウって誰だろう……?
「ああ、ごめん」
光太郎さんがあたしを見て苦笑いをした。なんていこと無いです、そういう感じであたしは首を横に振った。
「もう取れんの? 免許。いまどのへん?」
タケさんがあたしにそう聞いてきた。なんかふたりの話の邪魔しちゃってるような気がするんだけど。早いところ退散しなくちゃ。邪魔だ。
「一段階の途中です。まだ」
「そっかーがんばってね。免許取ったらツーリング行こうね」
「お、いいねーツーリング楽しいよ」
2人ともそう言うけどね……。つ、ツーリングですか……大丈夫なのかな。
「普通二輪なんですけど……」
「大きさなんか関係ないさー! 行こうね。決まり」
「は、はぁ」
強引だなぁ。でもなんか、二輪免許を取ってからの予定が決まってきているようで、ちょっと楽しい。