恋ごころトルク
 クランクはなんとか出来るようになってきたけど……新たに課題が見えてくるなぁ。クランクとスラロームが苦手なんだな。

「このへんは壁だね。苦手な人、多いし」

 途中、先生の後ろに乗せられ、スラロームを重点的にやってもらう。アクセルとクラッチ、体の傾け方などを参考にする。車体を傾けて曲がる、加速、傾けて曲がる、加速……。

 先生のスラローム、後ろに乗ってると振り落とされそう。恐怖。脳みそも揺れる。

 後ろから降ろされ、そしてバイクへ乗って、自分でやってみると、うまく行かない。クランクの時と同じだ。頭で分かってるけど、実際乗ってみるとなんだかうまく行かない。

 また自信喪失。光太郎さんに自信付けて貰ったのになぁ。 

 あと……これは自分が悪いんだけど、疲れて集中力が無くなってる。2時間連続で乗るんじゃなかった。後悔しながら教習が終わり、発着点へ戻る。

「クランクと同じように、バランスね。あと目線。全然できてないわけじゃないし、スラロームで倒れたりしていないから、精度を上げて行きましょう。はい、お疲れ様でした」

「お疲れさまでした……」


 先生、あたしを教えるの嫌だろうな……二輪教習を受ける女性、時々見かけるけど、9割は男性だもんな。

 車もバイクも、なんとなく「女性の方が運転は下手」ってイメージがある。男顔負けのテクニックの人も居るんだけどね、もちろん。女性の白バイとか、テレビで見るもの。

「ああ、疲れた」

 次の教習の人達が準備をしている中、ロッカーからリュックを取り、ヘルメットなどの荷物を詰め込んで、あたしは自動車学校を後にした。

 気持ちも落ち込んでるし、疲れたし、今日はもう家に帰ろう。帰ってふて寝しよう。

 自転車に乗って帰る途中、サクラクックの前を通る。今日はお休みを貰ったので、お店自体は営業してるはずだ。

 店の前の道路じゃなく、向かい側を走っていた。サクラクックを通りかかると、店内には3人ほどのお客さんが待っていた。時間はお昼過ぎ。いま忙しい時間帯かな。店長と奥さん、今日はありがとうございます。

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