恋ごころトルク
「そんなにじっと見られたら、食べにくい」
またあたしに気付いて、苦笑しながら言った。
「……すみません」
なんか、この時間が愛おしくて。ちょっと前なら想像もしなかった。ちょっと良いな、素敵だなって思ってただけだったのに。近付いたら離れたくないし、愛おしくて、こんな風に仲良くなれたのに、無くなってしまいそうで。それを想像すると、目が熱くなってしまう。
「美味い」
「良かったです」
「肉で、豚肉が一番好き」
「あたしも」
「いいよな」
「好きです」
「次は鶏かな」
「光太郎さんが」
「鶏肉」
「好きです」
あと3口くらいの豚しょうが焼き丼が容器の底に残ってる。
「あ?」
「え?」
あたしの胸はいっぱい。光太郎さんでいっぱい。青空の下で、お弁当を食べる光太郎さんの隣で。
光太郎さんはあたしから目を逸らすと、ガシガシお弁当をかき込んで「ごちそうさまでした」と容器の蓋を閉めた。
「……ストレートだなぁ、真白ちゃん」
「……」
この続きはなんて言われるのか分からない。
いま、どさくさ紛れの告白をしたけど、光太郎さんにちゃんと聞こえていた。告白なんか、するつもりは無かったんだけど。なんだか、いま言わないと後悔する気がしてきたから。
「明日、死ぬかもしれないし天変地異が起こるかもしれないし」
「いやいや、なに言ってんだろ」
「思ったこと、言わないと……後悔すると思って」
「……まあ、そうだな」
ガサガサと、お弁当のゴミが入ったビニールをいじる彼の指先を見ていた。オイルでちょっと汚れた手首。短く切った爪。