恋ごころトルク
「真白ちゃんてさ」
光太郎さんに名前を呼ばれて、右隣に居る彼を見る。
「免許取ったら後ろに乗せろとか、いきなり告白とか、意外と強引だよね」
「……はぁ……」
後ろに乗せて欲しいはともかく、告白は……彼女が居るかもしれないのに。いきなりはまずかったかな。
さっきから、告白と関係無いことを話すから、話題を逸らしたいのかなとも思っていた。
「玉砕覚悟です……」
伝えないで後悔するより、言って悲しい思いをする方が、きっと、良い。
「まだ何も言ってないけど」
やばい。泣きそうだ。我慢しろ。それではいくらなんでも、光太郎さんが困ってしまうし、勝手過ぎる。強引だとかそうじゃないとか、そういうのとは別な話だよ。
ふう、隣から息を吐く音が聞こえる。赤いつなぎの足は、薄汚れたスニーカーに繋がっていた。
「卒業したら、俺のバイクの後ろ、乗せてあげるから。教習がんばって」
優しい声で、そう言われた。光太郎さんは、あたしの情けない顔を見て、笑ってる。ねぇ、おかしいよね。二輪免許を取りに行ってるのに、後ろに乗せてって。自分で運転するんじゃないのかよ。
頭をポンポンとする、大きな手。光太郎さんが、あたしを触ってる。
やばい、泣くかもしれない。
「はい……」
いまのあたしには、これでじゅうぶん。
「泣くな、コラ」
ごめんなさい。勝手で、強引で、ごめんなさい。あとね、あたし、がんばるね。
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