恋ごころトルク


「梅雨入りしたってねー」

「先日、大雨の中で教習しました」

 今日は、自動車学校の帰りにミナセへ寄った。光太郎さんはたまたまお休みで、前にサクラクックに買い物に来てくれたスタッフさんに声をかけられて、店内で話している。

「レインウェアを買おうと思いまして」

「ちょうどセールですし、見て行ってください」

 梅雨入り宣言が出て、1週間くらいだろうか。前回の教習は雨だった。けっこう強めに降っていて、バイク用の雨具を持っていないあたしは自動車学校の貸し出しを使ったんだけど、やっぱり……他人が使ったものは微妙。サイズも大きかったし、とても乗りにくかった。これからも使うだろうし、自分専用のものを買おうと思って、ミナセに来た。光太郎さんが休みだったのは想定外。まぁ休みくらいあるよね。当たり前。

 梅雨入り前後だからだろうか、レインウェアは20%~半額オフになっていて、ラッキー。何色にしようかな。ずらっと並ぶレインウェアを見て、明るい色、オレンジやピンク、そういうのを見ていた。上だけ真っ赤っていうのが目に留まる。これにしようかな。目立つ方が良いもんね。

 ミナセのポイントカードを作ったんだ。なんかもう常連さんみたいな感じでくすぐったい気持ち。カードを見てニヤニヤしてて、あたし気持ち悪いね……誰も見てないよね。レジへ行こうと、レインウェアコーナーから抜ける。


「真白ちゃん?」

 後ろから声をかけられて、振り向くと、美形の長身が視界に突撃してくる。ぎょっとしたけど……ええと、この人……そうだ、タケさん。光太郎さんのお友達。

「こ、こんにちわ」

「お買い物?」

 あたしが抱えた赤いレインウェアを指差してタケさんが聞いてくる。今日もパンチのあるルックスですね……なんなんすか……。

「はい、レインウェアを買いに」

「着々と準備してる」

 ハッハーと笑ってる。偶然会ったけど、タケさんもお買い物かしら。

「曇ってたから、車で来ちゃった」

「そうなんですね」

 たしかに今日は朝からじめっとした曇り空だ。梅雨だもん、当たり前だよね。教習中、雨が降り出さないか心配だった。

「どう? 自動車学校、進んでる?」

 タケさんはピアスの耳を掻きながら聞いてきた。

「はい。いま2段階に進んでまして」

「あとちょっとじゃん。がんばろー」

「はい」


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