恋ごころトルク
誠太郎さんと2人で話してると、ショップ店内に人がちらほら入店してくる。タケさんはまだ戻って来ない。
「良い人ですよね、光太郎さんて」
「そうですか? そうですかっておかしいか」
そう言って誠太郎さんは頭を掻く。兄弟だから、光太郎さんバツの悪い時に頭を掻く癖があるのかな。
「あたし、バイクの免許を取りに行ってて、練習につき合ってくれるんです。なにかとサポートしてくれて……いろいろ教えてくださるし」
「兄貴が? そんなことしてんの」
「はい。ご迷惑かけてます」
「女の子に優しいなぁ」
ちょっとだけ、ちゃかした様に言ったあと「兄貴、根は優しいんだよ」って嬉しそうに笑った。
「そうですね、優しいです」
あたしも、そう言われると嬉しい。優しいところだけが魅力じゃないけどね。バイク姿も格好良かったです……! 思わず、頬に手を当ててしまった。顔が熱い。誠太郎さん、お兄さんのこと好きなのね。あたしも好きです。なんてね。
「悪ガキだった兄貴がねぇ」
遠い目をしながら、誠太郎さんが言う。
「悪かったんですか?」
「ああ、いや。まぁ若気の至りというか」
悪ガキとな。なんだか穏やかじゃない言葉だけど。でも、言った誠太郎さんも取り消す様子が無いし。ちょっとだけ陰のある顔をして、微笑むだけだった。
「おまたっせー!! ごめんね」
タケさんの派手な登場で、誠太郎さんとの会話が終わってしまった。誠太郎さんがこっち見て苦笑いしてる。
「用事済んだんですか? タケさん」
「おお、もう大丈夫。光太郎に頼んでたんだけど、他のスタッフに聞いてもらった」
タケさんもバイクに乗るんだもんね。ミナセのお客さんだっていうことを忘れていた。
タケさんと誠太郎さんが喋っている時、ふと視線をずらすと、バイクカバーがワゴンセールになっていた。まだバイクは持ってないけれど、こういうのも必要だよね……。あと、ロック。これが一番大事かな。貯金どれくらい無くなるんだろう。まぁ普段あまり使わないで貯めておいて良かったかもしれない。
堅実な真白、グッジョブ。