恋ごころトルク

「ねー、真白ちゃん」

「はい?」

 呼ばれて、あたしは振り向いた。

「俺達、昼飯食って行こうと思ってたんだけど、真白ちゃんも一緒にどう?」

 タケさんの予想外の言葉に面食らう。

「特別、用事が無いなら、どう? さっきレジ行ってる時に、誘おうかってタケさんと話してたところ」

 誠太郎さんまで……!

「お昼? 良いんですか? 一緒に? ほんと?」

 2時間の教習を終えて、お腹ペコペコだった。気付けばお昼時だったし、どこかで食べて帰ろうか、帰りにスーパーでも寄ろうか迷っていたところだった。

「なにそんな聞いてんの。面白い」

「いや、だって。お腹空いてたので」

「じゃあ良いじゃん。行こう」

 ダメ押しの誠太郎さんの「行こう」で3人で一緒にお昼ご飯を食べることになった。もちろんミナセのカフェで。

 前回はひとりだったし、また来たいと思っていたから、嬉しいな。なに食べよう。嬉しいな。


 3人で、カフェの入口を入っていく。カランと鳴るベル。前回来た時から特に変わった感じはしなかった。当たり前か。

「いらっしゃいませ」

 母娘スタッフが(前回勝手に命名した)笑顔で声をかけてくれた。店内に客はおらず、あたし達は窓際の席に陣取った。タケさんと誠太郎さんが隣り合わせで、あたしが向かいに座る。

「ご注文決まりましたら、お声がけください」

「どうもー」

 なにを食おうか、コーラ飲むかな、喉が渇いたなどと話すタケさんと誠太郎さん。あたしは、なにを食べようかな。この間チキンサンドにしたから、今日は違うのにしよう。

「俺、ビーフサンド」

 タケさん1番手。続いて「じゃあ俺はチキンサンドにしよ」と誠太郎さん。あたしまだ決まってない。

「蒸し暑いよなー。真白ちゃんゆっくり決めていいよ」

 手のひらで顔を扇ぎながらタケさんが声をかけてくれた。あたしはメニューをガン見。むむむ……。

「早く梅雨明けてくんねーかな」

「梅雨入りしたばっかだよ」

 2人のおしゃべりを聞きつつ、メニューを決める。決めた。サーモンサンドにしよう。

「すみません決めました」

 あたしが言うと、誠太郎さんが店員さんを呼んでくれて、注文する。なんか、付いて来ちゃったけど、緊張するな。二輪免許に続き、また新しい世界のドアを開けた。だって、タケさんも誠太郎さんも、普通に生活してたら知り合いになれないもん。もちろん光太郎さんだって。



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