調導師 ~眠りし龍の嘆き~
「共にある。
一生じゃ。
命ではなく、世界がある限り。
意志を継げるモノが存在する限り……」

こうして心穏やかに墓前に立てるのは、まだまだ愛しい存在が生きているからだ。

隣りに佇む娘。

息子が残した孫。

一人孤独ではない。

それは何よりの救いだ。



兄さん。

あなたの意志は俺を変えた。

色鮮やかな世界をくれた。

俺もそんな存在になりたい。

導いていける存在に。

何かを与えられる者に。

愛しい者達に笑顔を残したい。



奈津絵。

会いに来ただろ?

お前は今でも一番だ。

特別な存在だ。

お前は?

俺は一番か?

一番のはずだ。

想いは一緒だろ?

お前が愛した俺のまま残りの余生を生きるよ。

一番のままの存在でお前にまた会えるように。



藤武。

お前は残してくれた。

可愛い孫娘。

そして今…。

その孫もお前のように愛する人を見つけた。

優しい心を持って。

真っすぐに人を愛せる子に育った。

嬉しいだろ?

きっと今のお前は笑っているな。

あの子には幸せになってほしい。

見届けるよ。

そして願っている。

幸せを。

お前が今も見守っているように。


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