専務が私を追ってくる!

私の心を読んだかのように社長が口を開く。

「なに、仕事はスケジュール管理や経費の精算、書類の確認と署名の催促、あとは雑用かな。秘書っていうより専属事務員って感じだから制服で大丈夫だし、今とあんまり変わらないよ」

それなら助かった。

制服でいいなら着飾る必要はない。

「年も近いし、話も合うんじゃないかな」

「ずいぶんお若い専務なんですね」

「僕の息子なんだ。今30歳。ちなみにまだ独身」

なるほど、つまり次期社長。

跡取り息子ってわけか。

……ますますプレッシャーなんですけど。

全く仕事のできないボンボンだったらどうしよう。

今の生活には、心に余裕があることが一番大事なのに。

再び社長が、私の不安を見透かしたように言う。

「親バカってわけじゃないけど、まあまあ仕事はできる男だよ。うちに置いとくと妻が甘やかすもんで、大学から東京に出したんだけど、すっかり都会に居着きやがってね。30になってようやく会社を手伝う気になってくれたんだよ」

社長は嬉しそうに語る。

よっぽど息子がこの会社に来るのを楽しみにしていたようだ。

< 12 / 250 >

この作品をシェア

pagetop