専務が私を追ってくる!

「でも、今回の事故。あの専務のせいなんでしょ?」

……は?

何それ、聞き捨てならない。

「ああ、らしいな。あれだろ。湾岸バスとの」

「そうっす。春の見直しは、利益拡大を狙った改革でしたよね」

「そうそう。どうせ運転手削減して、人件費ケチったんだろ」

違う。

そんなことしてない。

利益拡大の改革は、旅行商品の開発のことだ。

「それで寝不足で、ぶつかってきたトラックに注意が向かなかったんですねー」

「怖いなー。けが人出なかったの奇跡だな」

「それは良かったけど、これで売り上げ減って、俺らのボーナスまた減るぞ」

「うわー。今年は増えるかもって聞いてアテにしてたのになー」

その『増えるかも』は修の働きのおかげなのに。

せっかく生まれ始めていた新専務の信頼が、いわれのない噂で崩れていく。

私はごくりと固唾を飲んで、踵を返した。

休憩なんてしてられない。

仕事しよう。

会社のために……いや、修のために。

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