専務が私を追ってくる!
唇から頬に、耳に、首に、鎖骨に。
キスを交わしながら所構わず何もかもを脱がし捨て、移動する。
ヘンゼルとグレーテルのパンのように、衣類が私たちの軌道を示しているようだった。
階段を上りきったころにはお互いに下着だけになっていて、私の部屋に入る前にそれらも脱ぎ捨てた。
ベッドに飛び込み、滑らかな生肌を全身で貪り合う。
シングルサイズのベッドは二人で寝転ぶと狭いけれど、密着した状態で使うのであれば十分な広さがある。
膝と手をついて私に覆い被さる彼が窓から差し込む月明かりに照らされている。
骨格や筋肉の凹凸が演出する妖艶な光と影のコントラストに、思わず息を飲んだ。
彼の体はもう何度も見てきたはずなのに、見え方が変わるだけで、こんなにも心をかきむしられる。
つい数分前までこの男が憎たらしくて仕方がなかったのに、今は愛しすぎて狂ってしまいそうだ。
「ヤバい。美穂に触るの久しぶりで、全然余裕ない。すぐイくかも」
「久しぶりって、大袈裟。たかだか1週間ちょっとでしょ」
「俺にとっては長かったの。ずっと美穂のとこに帰りたいって思ってたから」
幸せそうな顔で甘いため息をつく修。
拗ねて追い返すようなこと言ってごめんね。
「おかえり」