専務が私を追ってくる!

「美穂が頑張ってどうするの。審議にかけられるのは俺でしょ?」

「私の頑張りは無意味だって言うの?」

この格好をしているからか、修相手でも鋭いセリフがスッと出て行く。

支度に今までの3倍時間がかかったけれど、メガネをかけている時よりもずっと戦える自分になった気がする。

「無意味だなんて思ってないよ。そうじゃなくて、俺が頑張るんだから美穂は頑張らなくていいって話。苦労かけたくないっていうかさ」

「苦労なんかしてない。私も頑張りたいだけ」

臨時総会で修の解任が提案される可能性が高いことを聞いて、私なりにできることをやってきた。

修の言う通り、審議にかけられるのは修自身だ。

私があくせくしても仕方ないのかもしれない。

だけど、何もしないなんてことはできなかった。

「総会は何時からだっけ」

「15時」

「俺、朝からちょっと出掛けるけど、時間までには戻るよ」

「えっ? どこ行くの?」

「N市の商店街。今日は前から頑固ジジイと会う約束になってたんだ。こっちの都合でずらすと、また面倒なことになるからさ」

文句を言うばかりでなかなかこちらの条件を受け入れてくれないという頑固なアーケード街の自治会長。

前に修が事故渋滞で訪問が遅れたとき、『約束した時間に来ない!』と、すごい剣幕で電話がかかってきたことがあったっけな。

修が解任になったら、誰が修の夢を引き継ぐんだろう。

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