専務が私を追ってくる!
「皆様、このような大事な会にもかかわらず、大幅に遅刻をしてしまい、大変申し訳ありません」
バッと音が立つほど勢いよく、深く頭を下げた。
拭いきれなかった汗が一滴、ぽたりとデスクに落ちる。
「今日は、どうしても取りたい契約がありまして。言い訳になりますが、契約書にサインを頂くのに、想定より時間がかかってしまいました」
契約?
一同が首を傾げ、会場がざわつく。
修は左手に持っている契約書を掲げる。
「N市中心地商店街の振興自治組合と、正式にパートナー契約を結んでまいりました」
「ええっ?」
自治会長が頑固で、まともに話を聞いてもらうことさえ稀だったはず。
それが急に契約にまでこぎつけるなんて。
一体どんな魔法を使ったのだろう。
株主たちからは「おお〜」と感心の唸り声が響く。
「あ、それと」
修は一度会議室の外に出て、大きめの額縁を持ってきた。
中には豪華な状が収められている。
「こちらはN市から頂いた、“N市の高齢化防止および再活性化プランのメインパートナー”の任命状です。我々東峰バスは、N市のメインパートナーとして、正式にN市の地域開発を始める運びとなりました」
声高らかな宣言に、今までネガティブな感情を持っていた株主たちが「おお〜」と唸り、拍手が起きる。
修の解任案をかき消すなど、これだけで十分だった。