専務が私を追ってくる!
左ウィンカーを出し、修が指を指した喫茶店の駐車場へ。
他人の車での駐車は緊張したけれど、バックモニターという便利な機能がついていたので、上手くいった。
ぶつけたり壊したりしなくてよかった……。
ホッとすると一気に虚脱感に襲われる。
店に入ると窓際のテーブル席に案内された。
各々コーヒーとおやつのケーキを注文し、背筋を伸ばす。
背中がパキパキ鳴って、修に笑われた。
「スゴい音」
「長時間同じ体勢で座ってると、こうなるんですよ」
コーヒーとケーキが届いた。
私はベイクドチーズケーキのセット。
眠気を飛ばすため、コーヒーはブラックのままいただく。
修には生クリームの添えられたガトーショコラが運ばれた。
バーではシャンディー・ガフばかり飲んでいたが、どうやら甘いものは嫌いじゃないらしい。
コーヒーには砂糖とミルクを混ぜている。
おさむ帳を開き、ケーキをもぐもぐしながら何かを書き込み始めた。
男の人らしい角張った字が、不安定な車内での殴り書きの横に書き足されてゆく。
今見えているページには、さっき通ってきたコースのことしか書かれていないようだ。
「あの、専務」
「ん?」
「おさむ帳は、私が拝見しても良い物なのでしょうか」
尋ねてみると、修はパッと顔を上げた。