専務が私を追ってくる!

「ねえ、郡山さん」

名前を呼ばれて、我に帰る。

「……はい」

しまった、ちょっと思い出に浸りすぎて、うとうとしてた。

定時は過ぎているがまだ仕事中である。

眠るのはさすがにマズい。

修はまっすぐに前を見て安全走行しながら、優しい声で言った。

「俺たち、前にどっかで会ったことないかな」

ドキッ——……!

思わず息を飲む。

この微かな音が彼の耳に入っていませんように。

眠気は一気に覚めた。

私としては、こう言うしかない。

「ないと思いますけど」

「どこかで似たような人を見ただけかな」

「きっとそうですよ。私のような雰囲気の人、たくさんいますから。よく言われるんです」

笑ってごまかすしかない。

あんまりしつこく否定するのも逆に怪しくなるだけだ。

修が私の顔をチラ見するので、あの日はかけていなかったメガネをクイッと上げて存在を主張しておく。

すると今度は、こんな質問を繰り出してきた。

「郡山さん、彼氏は?」

何なの急に。

「いません」

あなたとの一夜の恋が最後です。

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