専務が私を追ってくる!
私は嫌な女だ。
自らを高貴な人間だと思い込み、そのように振る舞う快感に溺れている、愚かな人間だ。
自分の気高さを他に見せしめるため、身分不相応なブランド品や宝飾品を定期的に買いあさり、豊かであることをアピールし続けることを生き甲斐にしていた。
生活の充実感を味わうため、年に一度は海外へ旅に出掛け、その写真をSNSにアップしたり周囲に土産を配ったりして、羨望のコメントをもらわないと気が済まなかった。
ドラマや小説なら、間違いなくヒールの役回りだ。
自分の保身のため、あるいは見栄を張るために嘘をつくことなんて日常茶飯事。
自分よりも劣っていると見なした者には大きな態度で接していたし、優れていると判断した者には思いきり媚を売った。
気に入らない女がいたら陰口を叩き、気に入る男がいたら大いに色目を使った。
呆れるほどに見事な性悪ぶり。
我ながらあっぱれなのは、この年になるまで自分の性格の悪さに全く気付かなかったことだ。
忘れもしない28歳の誕生日。
とある出来事からそれを認識した私は、どうしようもない危機感に苛まれた。
私はこのまま嫌な女として、ヒールな人生を歩んでいくのだろうか。
自分の快感のために人に嫌われるような真似ばかりして、幸せになれるのだろうか。
今のままでは、きっとなれない。